グレコ遭難!

春である。春までの作業が遅れている亭主としては、半分待ち、半分まだ来るなと思っている春が来た。
<3年前に挿し木した沈丁花が満開>
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そんな暖かな春の日差しの中、とんでもないことが起きた。
なんともやりきれない、気持ちを寒々とさせる心ない仕儀が起こした事件だ。
いすみに居を構えてから5年、これまでも色々な事件が起こった。
が、その一つ一つはそれなりにあきれたり、情けなくなったりと
少なくともほほえましさなり、ばかばかしくなって笑いのこみあげるものばかりでもあった。
婆さんがフキノトウを取るのに夢中になって崖から滑り落ちたり、
ゴンが藁ぶき屋根の中にもぐりこみ身動きつかなくなったり、
掘った溝が崩れロシナンテが横倒しになって亭主が投げ出されたり、等々
今思い出しても笑いのとまらないものがほとんどだ。

しかし今度はそれとはまったく違った。むしろ怒りがこみ上げた。

農園での作業が一段落し、前庭に回ってきたとき、居間の方でゴトゴトと異様な音がする。
普段一人住まいの静かな家である。ちょっとした音でもすぐ何の音かわかる。
ゴトゴトなんて重い音はまずしない。
不審に思ってあわてて部屋に入ってみて驚いた。
グレコが左の前足の先っぽに何かくっつけたまま引きずって歩いてる。
「グレコどうした。」と良く見て今度は驚愕である。
「ワナ?! 」
明らかに錆びた鉄製の罠だ。
「待てグレコ!」と罠を引きずったままゴトゴト歩くグレコを捕まえて抱きかかえる。
普段だったらいやがって逃げようとするのだが大人しい。
罠の仕掛けを見て外し方を判断する。間違えたらグレコが痛がるはずだから慎重によく見る。
多分これだと握力測定をやるほどに全力で握りしめたら締まっていた歯の部分が少し開いた。
グレコの足を引っ張ったらすっとはずれた。
どうやら指先が挟まっていたようだ。傷が浅くて不幸中の幸いだった。

取り外してしげしげと罠を見た。
直径10センチ強程度の小さいものだが、造りはものすごくしっかりしている。
人間でも女性だったら外せるかどうかわからないぐらいバネの力が強い。
このまま大きくしたものが猛獣を捕まえるやつだ。
ネットで調べたら「トラバサミ」というものらしい。
<トラバサミ>
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映画に出てきたり博物館での展示品は見たことがあるが、実際に使われたものを見たのは初めてである。
数年前宮崎県でもノラ猫が挟まれ警察で悪質ないたずらと調査をしたことがあるみたいだ。
実際に使う目的だったのか捨てたのかは不明だが、いずれにしても危険極まりない。
ましてや飼い猫が被害にあったのだから憤りを感じるのはもちろんであろう。
ひょっとするとゴンが行方不明になったのもこいつのせいかもしれないとまで思った。

とはいっても警察に届けるのは大げさだし、傷が浅かったのを幸いとして泣き寝入りになりそう。

グレコはやっと安心したのだろう、今お気に入りの場所で静かにしてる。
さっき晩飯をやったらやはり少しは痛いのだろう、かるく左足を引きずるようにしながらそれでもしっかり食べに来た。
<疲れきってグッタリのグレコ>
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ふと思った。
グレコがけがをした時、困った時、この家へ帰ってきたということは、ここが自分の帰るところと思っていたのだなと思うといとおしいというか可愛いというか、こいつも家族になったなと感じたのだ。

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